境内の見どころ


 長谷寺は、今から約1,200年前「平城天皇の大同2年(807)に、弘法大師の創肇なり。」と『古伝縁起』に記されております。長谷寺の寺号は、地形が大和の長谷寺に似ているところから、『里を長谷と称し、山号を豊山、寺号を自性院長谷寺と称せり』とあります。
本尊の十一面観音立像3体は、弘法大師の御作と伝えられ、明治39年4月、国宝(現国重文)に指定されました。また、本尊は古来から秘仏として、33年毎に御開帳されてきました。
大悲殿・観音堂は正長年間(1428~1431)に、智円和上が再建し、現在の建物は、元禄4年(1691)に改修されたものです。
境内の多宝塔・5智堂は、貞享4年(1687)の建立で、新潟県の有形文化財に指定されております。
そのほか、亨保年間に建てられた仁王門や弘法大師を奉安した奥の院、不動明王を安置する不動堂、歓喜天を奉る聖天堂、鐘堂、本堂等の建物があります。

◎長谷寺が所蔵している主な文化財等

1. 白山姫像(女神坐像)

仏像の形を一部に有する神像で、神仏習合像です。この形の神像は比較的珍しく、女神像で半跏像のものは全国でも本像のみです。今から8年前に発見され、2年の歳月をかけて調査した結果、カヤ材の一本造りで平安前期頃作られた本堂最古の像と判明しております。高さ54cm。


2. 十一面観音(国指定重要文化財)

木造十一面観音立像三体は、平安時代後期の作、像高106cmの木造仏で、33年毎に1回の開扉を慣例とし、平成13年5月に33年ぶりの開扉法要を挙行しました。頭上の化仏から台座まで、それぞれカヤ、檜、桂材一木で彫ったもので、十一の顔を持つところから、あらゆる方向に顔を向けて、苦しむ衆生を見逃すことなく救ってくれる観音様として有名です。

ご利益:除災招福。特に災難よけに霊験あり。


3. 十一面観音(県指定文化財)

木造十一面観音立像一体は、平安後期の作で、十一の顔は、それぞれ前の三面はすなおに仏の教えに従う人に慈悲(慈悲の面)を垂れ、左の三面は従わないで勝手なことをしている人に対して怒り(忿怒の面)、右の三面は(狗牙上出面)苦行の人をほめたたえ、後ろの一面にある笑面(暴悪大笑面)は、ゆとりをあらわすとされているものです。

●ご利益:災難よけに霊験あらたか。


4. 不動明王(県指定文化財)

護摩堂に安置されている木造不動明王立像は、平安後期頃の作で、像高98.5cm、檜材の一本造りで、一般に「長谷のお不動様」として知られています。その像は大日如来が忿怒の相に化身し、火災を背に上半身裸で剣を構えて立っています。

●ご利益:善男、善女の出会い、あらゆる災難、障害や悩みを打ち砕き、 特に厄除け、家内安全、商売繁盛に霊験あらたか。


5. 矜羯羅(こんがら)童子(県指定文化財)

平安後期頃、不動明王の使者として製作されたもので、檜材一木から掘られています。高さ60.3cmの小像で、つつましく優しい表情をしています。


6. 五智堂(県指定文化財)

貞享4年(1687)時の長秀住職により建立されたものです。堂内には五智仏(阿弥陀如来:西、釈迦如来:北、大日如来:中央、薬師如来:東、宝生如来:南)の、金剛界の五仏が安置されています。この多宝堂の内陣は円形平面をもついわゆる大塔形式で、全国でも数少ない貴重な建物とされています。


7. 五智堂棟札(県指定文化財)

五智堂屋根の改修工事の際、330年振りに発見されたもので、当五智堂の建造年次がこれまで伝えられてきた年代より58年も以前であることが判明した貴重な棟札です。


8. 三本スギ(県指定天然記念物)

古くから「長谷の三本杉」と呼ばれ、多くの人々に親しまれてきたこの三本杉はいずれも樹高約50m、目通りの周囲6.4m以上の大樹です。樹齢は千年以上(推定)とされ、現在でも樹勢は旺盛です。


 9.高野マキ(県指定天然記念物)

本堂前庭の築山にあるこの木は、目通りの周囲4.6m、樹高40m以上、推定樹齢は500年以上とされており、樹勢も旺盛です。日本特産の針葉樹で、日本の中部及び西部に自生します。標準和名は「高野槙」で、特に和歌山県高野山に多いところから、この名がつけられました。


10. 長谷の大地蔵

全体の高さ245cmのうち像高は185cm、右手に錫杖、左手に宝珠の延命地蔵です。昭和53年1月、雑誌の「太陽」に東京芸術大学平山郁夫先生が画いた、本地蔵のスケッチが掲載され、話題となりました。

●ご利益:一生に一度に限り、「願かけ」ができるとの言い伝えられております。


11. 経蔵倉

仏教の経典三千冊を収蔵する建物で、この経蔵倉は内部に「輪蔵」と呼ばれる回転式の書架を備え、きわめて珍しい構造となっています。

●ご利益輪蔵を一回転することにより、一切経を読むのと同じ功徳あり


12. 木造金剛力士像(県指定文化財)

 当山仁王門に安置されている二体の金剛力士立像はいずれも平安時代後期に製作されたものであるとされています。国内に存在する金剛力士像の多くが鎌倉時代以降に製作されたものであり、平安時代のものとしては、全国的にも非常に貴重なものとされております。